連載1 過去から未来へ システムトレードの栄光と挫折
2007/06/29(金) 11:19
昔々から株で儲ける方法は、安きを買って、高きを売るに決まっています。
しかし、いつどこでその安きを見つけ出すのでしょう。
安きとは、一体何でしょう?
ただ安い、それだけではありません。
それは過去に対して安いのではなく、”限られた未来” に対して安く
なければならないのです。
結果がともなわなければ、つまり、一定の期間の内に、さらに極端に言えば
投資家が生きているうちに!結果がでなければ、負けてしまうのです。
一年後、その銘柄が買値より良い水準で上昇していなければ、それは
負けを意味します。
一年?それが短いのなら、三年でもいいです、それも短いのなら
10年ではどうでしょう?
まだお若いのなら年金のように、 何か分からなくなってしまう可能性を秘めた20年後はどうでしょう?
とにかく、それほどの期間で考えるならマイクロソフトのような
お化け企業か、トヨタのような超優良企業でないとだめです。
超優良企業?、今のグーグルですか?昔のソフトバンクですか?
とにかく、長い年月の間、すべては変わっていきます。
限られた未来に、成果を上げられなければ、それは、負けを意味するのです。
では、何に対して負けるのでしょう?
2007/06/30(土) 03:17
限られた未来に、成果を上げられなければ、それは、負けを意味するのです。
では、何に対して負けるのでしょう?
それは、いわば、確定利息としてつく、確定インフレとしてつく
金利というものに対して負けるのです。
つまり、単純なインデックスの運用には勝てない、ということです。
さて、これらの単純な、たとえば、NYダウ、SP500での指数運用を
出し抜くために、テクニカル分析=過去のパターンを分析する、というものが
古くから研究されています。
過去の検証をもって未来を予測する、そのアイディア自体は悪いものでも
不自然なものでもありません。
経験というものを厳格に数式に置き換えただけであり、それは相当の場合
陥ってきたリスクから回避する手段を提示してくれるものなのです。
ただ、死に体となった過去をいくら検証してみても、未来に命を与える ことはできません。
過去はなんども同じ形で繰り返されてますが、それは時に亡霊となって
未来に生きようとするものに襲いかかります。
そのやり方が、いつの時でも最高であるなら、カーブフィッティング(過去
のデータに対して最良の成果をもたすようにテクニカル分析のパラメータを
合わせること)ほど確実なものはありません。
過去を忍んでいいのならMACDがすべてを救ってくれる神様の言葉だと思っていた時期もありました。
http://d.hatena.ne.jp/nakane2007/20070410/1176139347
しかし、そのあと、彼(MACD)は豹変したのです。
2007/07/01(日) 01:57
しかし、そのあと、彼(MACD)は豹変したのです。
1997年をピークに、テクニカル指標の王道を行っていたMACDは
長年にわたる安定していたパラメーターを裏切り続け、
それ以来、その年のピークを10年もの間抜き去ることができていません。
テクニカルチャーチストはさまざまな他の指標を探し続け、この日本独自の
分析法である、一目均衡表がロイターに採用されるまでになりました。
しかしながら、過去に戻ってパフォーマンスを検証するバックテストと
いう意味では、解釈が幾通りにも存在するこの分析方は役に立ちません。
同じ意味で、エリオット波動も、後になって、以前の解釈を変えなくてはならない、
つかえない(システムとして)もっとも有名な分析法と なっているのです。
五波のうちの第三波であったはずが、ブレイクしたため、まだ二波で
あった、などの言い訳はシステムでは通用しません。
その意味で複雑な解釈をする分析法は、それを単純、明確化して組み入れる
しかないのです。
しかし、その罫線の信仰者はこう言います。
「この分析法は奧が深いのです。簡単には理解できません。」
また、その罫線の先生はこう言います。
本当に学び取るには、”次の講習を受けないとなりません。”
いずれにしても市場には、長期に渡って確約できるパラメーターなど
ないことは、膨大な検証で確認できるものの、投資家はいつまでもこの
夢の罫線を求めます。
当たったように見える罫線も、当たったように結果を出すバックテストも
どこかに大きなバグがあり、それが単に見えてこないだけなのです。
分析方法を研究すればするほど、すべての手法は、カオスと隣あわせに
なってきます。
そこにまた、検証を必要としない、企業分析アナリストや、罫線解説家の
生きる道が残っているのです。
錬金術があれば、だれがそれを他人に教えましょうか?
ブラックボックスを30万円で売っていたら、それはそれ以上の価値がないか、
一ヶ月だけ使えるものでしかないという、ごく単純で、明快で、真理に近い
論理を、だれも認めようとはしません。
どんな手法を使おうとも、結局は、インデックスに負ける。
この結論は、システム取引をおおいに否定するものであるだけに、
研究者は簡単には認めません。
そして、挙げ句の果てに、フーリエ解析やをはじめとする工学的な分析法まで
手を伸ばし、フィールズ賞学者の力をかりて、サイコロの目を占う研究が
続けられたのです。
ここまで来て、一つの疑問と、その答えを、断定的に裁いていていた憎き
理論を思い出しました。
2007/07/03(火) 04:19
ここまで来て、一つの疑問と、その答えを、断定的に裁いていていた憎き理論を思い出しました。
「ランダム・ウォーク理論」
彼の著書 ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理 には
株価形成は非常に効率的にできていて、その結果、だれも抜け駆けができない。
どんな英知を使った方法も、単なるチンパンジーとの戦いに敗れる。
結局は、インデックスを買っておけばそれでよい。
とあります。
その本の前書きには
”チンパンジーがウォールストリートの相場欄にダーツを投げて選んだ銘柄からなる
ポートフォリオでも、プロのファンドマネージャーと同じような成果を
上げることができるという考え方を、改めで厳密に検証している” と。
非常に優れた手法を用いても、インデックス運用に勝てず、は本当なのでしょうか??
優れたプログラムは、古典的理論を説き伏せ、時に人間に不可能であった
魔法の罫線を示してくれるのではないでしょうか?
----その後、非常に長い期間にわたって、様々な部分から、気の遠く
なるようなバックテストを多く行いました。
あるプログラムは6ヶ月、勝率75%以上を維持していましたが、それ以外の期間では、
ドローダウンの期間が非常に長く使いものにならなく、
あるプログラムは3年間は良い結果を残しましたが、実際に取引手数料と
ビッドとアスクのスプレッドを考慮するとつまらないものでした。
あっと驚くようなロジックは目で確認できても、数値化にならず、
古典的相場罫線分析法も、単純なプログラム化を行うと、意味のない成果を示していました。
栄光の企業も時に、淘汰されていく事態を耳にしながら、これはビジネスにも当てはまり、
儲かる方法は、次々に変わっていき、その変化は予測できず、
常にカオス側に収束するというのを、別の角度からも感じていたのです。
しかし、そんなある日、おおいに希望にあふれた、あるパターンを発見しまいた。
それは前日の引けと、ボラティリティから、次の日の寄り付きを予測し、
その寄り付きが良い水準なら、買い、というものでした。
ごく単純な形式でしたが、チャートを四六時中眺めている自分の経験から、良い買い場とは、
どこであるかを数式化したようなものでした。
早速バックテストを行うと日経平均先物では、勝率85%前後、ドローダウン
5%以下、日々単純な計算をするだけで、着実に儲かるのです。
大きく取れませんが、着実に、ロスカットも小さく、利益が積み上がると
いうことは、ポジションを大きく取れるということです。
私はこの手法を早速、 ”超秘密” にすることに決めました。
ついに、「ランダム・ウォーク理論」を出し抜いたのです。
2007/07/03(火) 10:26
私はこの手法を早速、”超秘密”にすることに決めました。
ついに、「ランダム・ウォーク理論」を出し抜いたのです。
この手法は日経先物だけでなく、為替にも通用することがわかりました。
ただ、為替においては、24時間マーケットが開いているので、OPENや
CLOSEに別の定義を与えないといけませんでした。
ドローダウンというシステムトレード上どうしてもつきまとうブレが
ほとんどありません。
それは、運用資金にレバレッジをもっとかけられることを示していました。
とりあえず、この秘密のルールのもと、システムを走らせました。
過去相当長い期間にわたってこのシステムは有効だったのです。
さっそくこのシステム下で日経平均先物のシグナルを待ちました。
感情のない、ただ、売りと買いを点灯させるシグナルに従う、それも
忠実に。
どんな優秀なシステムを作っても、それに従い切れなければ意味がありません。
はじめの5分の内に買いのシグナルが点灯しました。
まずは、買い5枚です。
システムは5分足で表示され、ポイントがくれば、自動的にアラームが
発せられます。
損切りのポイントも設定してあるので、そこに来れば
損切りを実行するだけです。
過去と同じように繰り返すのです。
短期トレンドでは、どちらにいっても可な、状況でしたので、売りでも
買いでも、取れそうな状況でした。
朝一番で買い、のシグナルの後、アイスコーヒーを一杯作りに席を外し
そしてモニターを再び除きました。
急落!、しています。
それはいいです。よくあること、売り仕掛けか、ネガティブの指標が発表され
たか、なにかです。
損切りのシグナルも出ているはずです。
・・・しかし、そのシグナルが出ていません。
損切りのシグナルがなぜでないのでしょう。なぜ?
よくよく見ると、アイスコーヒーを作っている間に、何かあったのでしょうか。
もともとのシグナル自体が消えているのです。
なぜ、消えたのか。
それは、はじめの5分の上昇のうち、最後の1分の値崩れで、買いのシグナルが
消えていたのです。
このシステムは、5分足の引けでサインを判断しているにもかかわらず、その
5分が終わらないうちにシグナルを出してしまうのです。
しばらくは、このことの意味がよく分かりませんでした。
それならば、5分を終えてから売り買いのサインが出るように変更すれば
いいだけです。
しかし、しばらく考えた後、ことの重大さに気づきました。
このシステムは、5分足の引けをあらかじめ読み取ってシグナルを出して
いたのです。
つまりは簡単に言うとこうです。
5分足が、陽線なら、よ・り・つ・き で買いのサインを出してしますのです。
それが陽線かどうか、なぜ、わかるのでしょう。
それは、バックテストであったからです。
あらかじめ知っている引けの値を持ってきて寄り付きで判断するのです。
勝って当たり前、ドローダウンなくて、当たり前、それはそうです、
過去のチャートを見て、ここが底なんですね!と解説するチャーチストと
同じなのです。
そうです、この夢のシステムは、単なる 「バグ」 だったのです。
勝率85%を誇る投資法、そんな本を見ると、このことを思い出します。
それは、通常あり得ないことであり、システム開発で、このような超勝率が
でるたびに、バグを探します。
そしてそんな時、そのバグは必ず存在するのです。
夢は破れました。というより、真実を知りました。
私はもう一度、読むことにしました。あの理論を。
2007/07/03(火) 13:30
夢は破れました。というより、真実を知りました。
私はもう一度、読むことにしました。あの理論を。
改めて読み直してみると、ますます、市場は彼の意図する効率化へ進んでいて
それを単純に否定することはできません。
とくにインターネットが普及し、地球の裏側の情報が、瞬きの間にも同時配信
される状況では、ニュースで出し抜くことはできません。
また簡単にテクニカル分析を利用できるようになった現在では、皆が同じ
ようにゴールデンクロスを知り、デッドクロスを認識するのです。
と当時にネットから注文が入り、通常の分析方法では、すでに買われており
売られており、テクニカルの入る隙間も少なくなりました。
違った方法、これを何らかの条件を使って求めなければなりません。
資料にあるのは、過去のデータだけです。
しかし、この過去は死に体であり、決して未来を語るものではありません。
その過去に歩調を合わせれば合わせるほど、つまり、完璧な成果を示す
パラメーターを使えば使うほど、実は未来との符号は合わなくなります。
最高のパラメーターは、過去最高であって、未来の何も保証はしません。
過去最高であってはいけないのです。
それでもインデックスを出し抜こうと、英知は絞られます。
しかし、このバイブルの読破なしに、次のシステム構築は考えられません。
過去の最適化が全く意味のないことを
だれも
認識していないのです。
----
そこからまたいくらかの時間が過ぎました。
シミュレーションというものへの考え方、哲学自体が変わってしまってから
計算というものへのアプローチも随分を変わりました。
テクニカルの最適化は、過去へではなく、未来へ向かっていなければならない
のです。
そして、そんな時、昔なら胸躍らせるニュースが飛びこんできました。
プログラムでその優秀さを競う「株ロボ」です。
「カブロボは、全自動で株を売買するコンピュータのプログラムで構成され
るロボットです。
どなたでも、ご自分のカブロボを作っていただくことが できます。」
これらのコンテストでの優勝者は実際に運用を任されます。
同じプログラムをファンドマネジャーとして。
そして今、TOP10台による最終テストが行われています。
興味をもってこの結果を見つめています。
彼の理論と、現代の英知をどちらが真実か?
見て下さい。

過去の成果は完璧です。
1997年からTOPIXがどんなマイナスの時も、プラスで推移です。
相場が上がるときも下がるときも安定してます、最高のトレーダーです。
しかし、これは過去。
実際に運用をはじめた今年はどうでしょう。

TOPIXが5.9%上がっているのに対し、ロボはマイナスです。
過去、あんなに良かったのに、運用をしたとたん、なぜこうなるのでしょう。
それは、過去に対して完璧に調整をしてしまったからです。
大切なのは、最高利回りではなく、ロジックそのものの質です。
しかし、結果競争である以上、ときに、偶然が上位を占めます。
あたかも、苦労してファンドマネージャーが選出した銘柄で構成された
ファンドより、チンパンジーがダーツで当てた銘柄がそのパフォーマンスを
凌ぐように。
最後に
今ある確実は方法はこうです。
秘密の情報を持ってくる。
誤発注をみつけて出し抜く。
そして、彼の理論を出し抜くこれらの唯一残された方法を思うとき
また思い浮かんだのは、あの愛すべき理論でした。
マーフィーの法則
「誰がやっても儲かるものは、たいてい法律で禁止されている」
終わり。